「化学」を作ったひとアントワーヌ・ラヴォアジエ……の幼妻マリー=アンヌ【第266号】
いちです,おはようございます.
ラヴォワジエ夫妻の肖像(1788)
ここに掲載したのは「ラヴォアジエ(ラヴォワジエ)夫妻の肖像」で,描いたのはナポレオン1世のお気に入り画家,ジャック=ルイ・ダヴィッドです.肖像画の二人の名前は,男性の方がアントワーヌ=ローラン・ド・ラヴォアジエ,女性の方がマリー=アンヌ・ピエレット・ポールズです.現在ニューヨークのメトロポリタン美術館に収蔵されているこの絵画は1788年に製作されました.
男性の方,アントワーヌ・ラヴォアジエは科学史に多大な功績を残した人物です.アントワーヌはフランス革命で処刑されるという悲劇の人生を送ったこともあり,その名を永遠に科学史に残しています.
しかし,彼が科学史に功績を残せたこと,そして後世の人々がアントワーヌ・ラヴォアジエの名前を永久に覚えた理由は,彼の妻マリー=アンヌの「貢献」いや「死闘」によるものです.
今週はそんなマリー=アンヌ・ピエレット・ポールズについてお話します.
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(Cover Photo by Paul Einerhand on Unsplash)
《目次》
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アントワーヌ・ラヴォアジエ
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フランス革命
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マリー=アンヌ
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今週の書籍
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今週のTEDトーク
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Q&A
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一伍一什のはなし
アントワーヌ・ラヴォアジエ
科学者アントワーヌ・ラヴォアジエは1743年8月26日にフランス王国のパリに生まれました.アイザック・ニュートン【第128号】を「近代物理学の父」とするならば,ラヴォアジエは「近代化学の父」と呼んで差し支えないでしょう.彼は化学反応の前後で物質の質量は変わらないという「質量保存の法則」を発見しています.たとえば,木を燃やしてしまえば灰になって軽くなったかのように見えますが,木から出た煤,煙,炭酸ガスなどをすべて回収すれば,元の木と同じ重さなのです.
この法則はアルベルト・アインシュタインの特殊相対性理論による少しの修正を除けば,現代でもまったく正しいのです.
またラヴォアジェは「燃焼」が「酸素との結合」であると発見した最初の化学者でした.この発見は想像以上に凄まじいものです.当時,一般人に信じられていた四元素説,すべてのものは「火」「空気」「水」「土」から構成されているという説は,ラヴォアジェの発見によってとどめを刺されたのです.火は酸素(O₂)の化学反応であり,空気は窒素と酸素の混合物(N₂+O₂),水は酸化水素(H₂O),土の主成分は酸化ケイ素(SiO₂)や酸化アルミニウム(Al₂O₃)と,四大元素すべてに酸素が関わっているのでした.
四元素