シュレーディンガーの色彩理論【第276号】

シュレーディンガーが1920年に描いた色の幾何学は,100年後の研究で再び脚光を浴びました.色空間はユークリッド幾何でもリーマン幾何でもない――その「くにゃっとした」世界を読み解きます.
いち 2026.03.20
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いちです,おはようございます.

今月,雑誌「ワイアード(WIRED)」が「シュレーディンガーの色彩理論は,やっぱり正しかった.100年越しの“逆転劇”の理由」という記事を掲載しました.

STEAM NEWS過去記事で屈指のアクセス数を誇るシュレーディンガー博士による色彩理論について,本誌で取り上げないわけにはいきません.本記事執筆にあたってワイアードの記事やより詳しい解説記事を深く読んでみたのですが,まだわかりにくいなあと思ったので,僕なりの説明をしてみたいと思います.

なお,ワイアードの記事が「やっぱり正しかった」と紹介している「シュレーディンガーの色彩理論」ですが,英訳が書籍「Sources of color science」の134ページから193ページにかけて書かれています.本書の該当部分の日付は1920年となっています.このときシュレーディンガーは色彩を幾何学的に,かつ幾何学だけで説明しようとしました.彼が量子力学の「シュレーディンガー方程式」を発表したのが1926年ですから,もともと色彩にも興味があったようですね.

色彩を幾何学的に説明しようという試みが過去多数なされてきました

色彩を幾何学的に説明しようという試みが過去多数なされてきました

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《目次》

  • 色立体

  • 色はユークリッド空間ではない

  • 色はリーマン空間でもない

  • 羊羹を切り分けるのか,幹から枝を伸ばすのか

  • 今週の書籍

  • 今週のTED-Edトーク

  • Q&A

  • 一伍一什のはなし

(Cover Photo by Sean Sinclair on Unsplash)

色立体

色彩理論について,STEAM NEWSで過去にも取り上げています.

もうちょっと穏やかなタイトルにしておけばよかったなあと反省していますが,それはさておき,ここで伝えたかったのは,人間の目は一種の光センサーで,光を受け取って色を知覚しているということ,色を知覚するセンサーはL,M,Sの3種類あって,Lセンサーが赤色を,Mセンサーが緑色を,Sセンサーが青色の知覚を生み出していることです.いま「Sセンサーが青色」と書きましたが,実際には菫(すみれ)色のほうが正しいです.「今週のTED-Edトーク」にも解説がありますので,そちらを見てから読み進めて頂いたほうが本記事はわかりやすいかも知れません.

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続きは、5768文字あります。
  • 色はユークリッド空間ではない
  • 色はリーマン空間でもない
  • 羊羹を切り分けるのか,幹から枝を伸ばすのか
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  • 今週のTED-Edトーク
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