姿を消す技術【第308号】
いちです,おはようございます.
今週は「迷彩」についてお届けします.写真はウクライナ軍がテストしている,女性用迷彩ボディ・アーマーです.
迷彩と聞いて思い浮かぶのは,写真のような緑と茶色のまだら模様かもしれません.でも迷彩の本質は「模様」そのものではなく,見る側の知覚をずらすことにあります.背景に溶ける.輪郭を壊す,別のものに見せる,やり方はいくつもあるのに,目的はいつも同じです.そこにいるのに,いないように見えること.
今週は,その技術を歴史と物語とフィクションのあいだでたどります.途中で,スウェーデン軍の幾何学迷彩にも立ち寄りましょう.あの鋭い三角形のならびには,軍事研究だけでなく,モダンデザインの感覚が透けて見えます.
📬 STEAM NEWSは国内外のSTEAM分野(科学・技術・工学・アート・数学)に関するニュースを面白く解説するニュースレターです.STEAM NEWSでは記事の無料配信を維持するためのご支援を受け付けております.詳しくはメール末尾を御覧ください.
《目次》
画家たちが戦場に呼ばれた日
スウェーデンの「葉っぱの山」とモダンデザイン
文学と,透明マント
現地の枝をまとう
『攻殻機動隊』と光学迷彩
今週の書籍
今週のTEDトーク
Q&A
一伍一什のはなし
(Cover Photo by Specna Arms on Unsplash)
画家たちが戦場に呼ばれた日
近代以前の軍服は,むしろ目立つことが仕事でした.敵味方の識別,士気,身分の誇示など「隠れる」より「見える」ことが優先だったのです.ところが銃の射程が伸び,空からの偵察が当たり前になると,事情が変わります.目立つことは,一方的に撃たれることを意味しはじめました.
そこで軍服や装備に「隠れる」機能が求められるようになったのです.「迷彩」という発想の始まりです.

Plan of dummy tree observation post (セヴォラがデザインした,木に見せかけた監視哨のスケッチ)
この記事は無料で続きを読めます
- スウェーデンの「葉っぱの山」とモダンデザイン
- 文学と,透明マント
- 現地の枝をまとう
- 「攻殻機動隊」と光学迷彩
- 今週の書籍
- 今週のTEDトーク
- Q&A
- 一伍一什のはなし
すでに登録された方はこちら
