ローマン宇宙望遠鏡【第299号】
いちです,おはようございます.

ナンシー・グレース・ローマン宇宙望遠鏡
2026年8月30日朝(日本時間では同日夜),フロリダのケネディ宇宙センター第39A発射台から,スペースXのファルコン・ヘビーが飛び立ちました.積み荷はNASAの旗艦宇宙望遠鏡——ナンシー・グレース・ローマン宇宙望遠鏡,通称ローマン宇宙望遠鏡です.
打ち上げから約31分後,望遠鏡はロケットから分離され,太陽電池パネルの展開も確認されています.これからおよそ3か月,約150万キロメートル先の太陽地球ラグランジュ点「L2」へ向かう旅が始まります.最初の科学画像は,早ければ2027年初頭にも公開される見込みです.
ハッブル宇宙望遠鏡やジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)のあとに続く「次の大きな目」.今週は,ローマン宇宙望遠鏡を運んだロケットから,置き場所,宇宙望遠鏡という考え方,ミッションの中身,そして名前の主までを,一本の問いでたどってみます.
なぜ,この望遠鏡は地球のすぐ上ではなく,地球の「裏側」の一点へ運ばれるのでしょうか.
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《目次》
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ラグランジュ点
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一伍一什のはなし
ファルコン・ヘビー

ファルコン・ヘビー
まず「どう運ぶか」です.
ローマン宇宙望遠鏡の質量はおよそ9トン超.主鏡は直径2.4メートル級で,ハッブル宇宙望遠鏡と同程度の口径を持ちながら,はるかに広い視野を一度に見渡せます.こうした旗艦級の観測機を,地球周回ではなく「L2」へ送り込むには,大きな打ち上げ能力が要ります.
そこで選ばれたのが,コアロケットの両脇にブースターを2本足したファルコン・ヘビーです.今回の打ち上げでは,分離後のサイドブースターがケープカナベラルへ帰還し,中央コアは使い捨てとされました.NASAによればファルコン・ヘビーでの主要ミッション4例目です.完成が早まった望遠鏡に合わせて打ち上げ日程を前倒しした,とも報じられています.
ロケットは「荷物を軌道に載せる機械」ですが,宇宙望遠鏡にとって軌道の種類は性能そのものです.大気の外へ出すだけでなく,どこで観測するかまで含めて,打ち上げはミッション設計の一部なのです.
ラグランジュ点
次に「どこに置くか」です.
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