七夕の物語【第30号】

織姫と牽牛(彦星)の恋の物語から見えてくるもの
金谷一朗(いち)
2021.06.25
誰でも

このレターには音声版があります

【140字まとめ】七夕の織姫と牽牛(彦星)の伝説,そして同じ星々にまつわるギリシア神話をお話します.織姫星はカール・セーガン原作の映画「コンタクト」のモデルになった星で,地球外生命体がいるかもしれません.そんなセーガン博士のメッセージも込めてみました.あとひとつ,北極星の謎についても少し触れました.

いちです,おはようございます.

もうすぐ「七夕」を迎えますね.僕は月に一度,京都で開かれる身内の集まりにオンライン参加させていただいています.その会では毎月ゲストをお招きして,芸術や文化,学術のお話を伺うのですが,今月はゲストの書家,川尾朋子さんのご希望で僕と二人で,つまりは美女と野獣で「七夕」についてお話をさせていただきました.彼女のお話は大変美しい物語だったのですが,このニュースレターでは僕がお話した内容を少し膨らませてお届けしたいと思います.

七夕伝説

中国の伝説によると,中国神話の最高神「天帝」の娘である織姫(おりひめ)と,美青年の牽牛(けんぎゅう)が,旧暦の7月7日にだけ,会うことが許されたそうです.織姫は天の川の西岸に住む,機織りが大変上手な娘で,素晴らしい布を織り上げていたそうです.一方の牽牛は天の川の東岸に住む,牛の面倒をよく見る働き者でした.なお牽牛は別名を彦星(ひこぼし)と言います.

天帝は来る日も来る日も働く娘を心配して,天の川の向こう側に住む牽牛を見つけ出し,二人を引き合わせました.二人はめでたく結婚したのですが,幸せすぎたのでしょう,朝から晩まで天の川のほとりでお喋りばかりしていたそうです.

布は織られず,牛は世話されず…

自ら招いたこととは言え,天帝は怒って二人を引き離してしまいました.こうなると二人は悲しみに暮れ,ますます仕事をしません.そこで天帝は,二人が仕事をすることを条件に,一年に一度,7月7日の夜だけ,天の川を渡って会うことを許しました.

これがよく知られた七夕の伝説です.

僕はこの話を聞くたびに一つの疑問を感じます.いったい,二人は天の川のどちら側で会うのだろうかと.

平安時代初期の歌人「在原業平(ありわらのなりひら)」は,大阪の天野川(あまのがわ)を前に次のような歌を残しています.

狩りくらし 棚機乙女(たなばたつめ)に 宿からむ 天の河原に われは来にけり
在原業平

「狩をして日が暮れてしまったので,今夜は織姫の家に泊まりましょう.天の川に来てしまったのだから」という意味です.

同行していた貴族の紀有常(きのありつね)が

ひととせに ひとたび来ます 君待てば 宿かす人も あらじとぞ思ふ
紀有常

「一年に一度訪れる牽牛を待つ身であるから宿は貸してもらえまい」と返しています.というわけで,おそらく織姫と牽牛は,織姫の家で会っていたのでしょう.少なくとも,日本上空では.

牽牛(けんぎゅう)

ここで,古代ギリシアに目を向けてみましょう.

ギリシアも中国も北半球にありますから,古代ギリシア人たちも,古代中国人たちと同じ星を見ていました.

鷲に襲われるガニュメデス(ピーテル・パウル・ルーベンス,1611)
鷲に襲われるガニュメデス(ピーテル・パウル・ルーベンス,1611)

古代ギリシア人たちは,牽牛星の周辺の星々をつないで「わし座」という星座を作りました.この鷲は,ギリシア神話の大神ゼウスが美青年「ガニュメデス」を連れ去るために遣わした鷲だとも,ゼウス自身が変身した姿だとも言われています.

美青年ガニュメデスはトロイア(イリオス)の初代王トロスの息子でした.ゼウスはガニュメデスを神々の住むオリンポス山に連れ去り,不死の酒「ネクタル」を給仕させたとのことです.ただまあ,ゼウスのことですから,ネクタル以外にもあれやこれやと給仕させたのではないかと…

なお花の蜜を英語でネクター (nectar) と呼びますが,その語源はこのネクタルです.日本の「不二家ネクター」もギリシア神話のネクタルが語源だそうです.

そんなわし座にある牽牛星は,アラブの天文学者によって「アルタイル」と呼ばれており,それがそのまま現在の学術名にもなっています.アルタイルは地球から16.7光年離れているのですが,これは肉眼で見える恒星の中では,4.4光年先の「ケンタウルス座アルファ」,8.6光年離れたおおいぬ座の「シリウス」,11.5光年離れたこいぬ座の「プロキオン」に次ぐ近さになります.

そのため,アルタイルは比較的よく性質がわかっている恒星になります.例えば表面速度が時速約286キロメートルに達する速度で自転していることがわかっており,恒星表面の画像も天文学者によって得られています.

織姫(おりひめ)

古代ギリシア人たちは,織姫星の周辺の星もつないでいます.このようにして出来上がったのが「こと座」です.こと座は吟遊詩人「オルフェウス」の持っていた琴だとされています.

オルフェウスの曲に耳を傾けるニンフたち(シャルル・ジャラベール,1853)
オルフェウスの曲に耳を傾けるニンフたち(シャルル・ジャラベール,1853)

このオルフェウスは悲劇の人で,妻エウリュディケを新婚早々亡くしてしまいます.毒蛇に足を噛まれたのが死因でした.

オルフェウスは冥府の神様「ハデス」とその妻「ペルセポネ」を訪問して懇願し,エウリュディケを連れ帰る許可をもらいます.ただし「冥府から抜け出すまでの間,決して後ろを振り返ってはいけない」と言い渡されるのですが,ご想像の通り,あと少しのところで,エウリュディケが付いてきているかどうかを確認したくて後ろを振り返ってしまいます.

エウリュディケは再び冥府に連れ戻されてしまいました.

古事記に書かれた日本神話とそっくりではないでしょうか?

女神イザナミ(伊邪那美)は火の神カグツチ(軻遇突智)を産んだために火傷によって死んでしまいます.イザナミの夫イザナギ(伊邪那岐)はイザナミを追って,死者の送られる「黄泉(よみ)の国」へと赴きます.

イザナギはイザナミを黄泉の国から連れ帰ろうとしますが,イザナミは自分の姿を決して振り返らないようにと伝えます.しかし,イザナギは耐えきれずにイザナミの姿を見てしまいます.イザナミは大いに怒り,黄泉の国の女達にイザナギを捕らえさせようとします.エウリュディケよりもイザナミのほうが強いですね.

桃の実を投げつけてどうにか追手を振り切ったイザナギは,水辺で身を清めました.このとき生まれたのが,アマテラス(天照大神),ツクヨミ(月読),スサノオの三貴子でした.ツクヨミについては,本誌【第24号】でご紹介していますので,よろしければ御覧ください.アマテラスは日本神話の主神として,スサノオはヤマタノオロチを倒して「天叢雲剣(あめのむらくものつるぎ)」を持ち帰ることで有名ですね.「天叢雲剣」はもちろん八咫鏡(やたのかがみ),八尺瓊勾玉(やさかにのまがたま)と並ぶ「三種の神器」のひとつで,熱田神宮に収められています.

イザナギが身を清めた水辺とは,宮崎市阿波岐原(あわきがはら)の「みそぎ池」とされています.そして,黄泉の国の入り口は,出雲にあると言われています.

ワオ!

話を織姫星に戻しましょう.

織姫星は学名を「ベガ」と言います.こちらもアラビア語由来の名前です.ベガは地球から25光年の距離という比較的近くにあり,非常に詳しく調べられています.天文学者はベガを「おそらくは太陽の次に重要な恒星」と呼ぶことがあり,21世紀の現在では星の明るさの基準にもなっています.ベガの明るさを「0等」として,同じく夏の星座であるさそり座の「アンタレス」がベガに比べれば少し暗くて「1等」,冬の星座であるおおいぬ座の「シリウス」はベガよりも明るい「マイナス1.5等」というふうに測られています.

また,ベガはどうやら惑星系を持っているらしいこともわかっています.アメリカの天文学者カール・セーガンが書いたSF小説「コンタクト」は,ベガの惑星系からの通信を受信するところから物語が始まります.コンタクトはロバート・ゼメキス監督,ジョディ・フォスター主演で映画化されていますので,ご覧になった方もおられるでしょう.

映画「コンタクト」 (1997)
映画「コンタクト」 (1997)

映画・小説コンタクトの発想の元になったのは,1977年「地球外知的生命体探査(SETI)」プロジェクトのメンバー,オハイオ州立大学のジェリー・R・エーマンが発見した「Wow!シグナル」(ワオ信号)でした.いて座の方角から発信されたその電波は1.42GHzの周波数を持ち,エーマンの用いた電波望遠鏡が観測できる最大の時間72秒に渡って高い強度を示しました.1.42GHzは「恒星間通信」に予約された電波で,地球上で製造されたいかなる送信機もこの周波数を用いることが禁止されています.

1.42GHzの電波が恒星間通信に予約されている理由は,それが元々,天文学者が宇宙を観測するために使っている電波であることが大きいようです.これは宇宙に豊富にある水素原子が時々放出する電波で,地上の大気も容易に通過します.そして,宇宙に向かって通信するような知的生命体ならば真っ先に選ぶような電波であろうと,我々地球人が考えるからでもあります.1972年と1973年に打ち上げられた惑星探査機「パイオニア10号」「パイオニア11号」には宇宙人向けの手紙が搭載されましたが,その手紙にもこの1.42GHzの電波が持つ波長211ミリメートル,周期704ピコ秒を長さと時間の単位として使うことが示されています.この手紙は,カール・セーガンによってデザインされました.

パイオニア10号に搭載された宇宙人への「お手紙」
パイオニア10号に搭載された宇宙人への「お手紙」

現在に至るまで「Wow!シグナル」の発信元はわかっていません.再び「Wow!シグナル」を受信しようとする試みはことごとく失敗しています.もっとも,それが「Wow!シグナル」が地球外知的生命由来であるという説を補強することにもなっています.もし自然現象であるならば,再び観測できても良さそうなものだからです.

2021年,ベガに惑星があることはほぼ間違いないとする論文が出版されました.その惑星は地球のおよそ200倍の質量を持つであろうことも指摘されています.ということは,地球の100倍の質量を持つ土星や,同じく300倍の質量を持つ木星と同じく,ガスで出来た惑星である可能性が高いです.

カール・セーガンは木星のようなガス惑星にも生命が存在する可能性を,妻でありエミー賞作家でもあるアン・ドルーヤンと共に書いた著書「コスモス」の中で述べています.このアイディアはアーサー・C・クラークの「2001年宇宙の旅」の続編「2010年宇宙の旅」にも現れています.地球外生命の発見を目的とした非営利組織「SETI協会」は,その中心施設に「カール・セーガン宇宙生命体研究センター」と名付けています.

天帝はどの星?

冒頭でご紹介した天帝は「天の神様」ですから,きっと対応する星があったはずです.しかし,天帝がどの星だったのかについてはよくわかっておらず,諸説があります.そのひとつが,天帝は「北極星」ではないかというものです.天の星々は北極星を中心に回転するわけですから,もし神々を星々になぞらえるのならば,最高神に北極星を割り当てるのは当然の成り行きかもしれません.

ところで,地球の回転軸はゆっくりと変化しています.この回転軸の変化のために北極星もゆっくりと入れ替わっていきます.現在はこぐま座の「ポラリス」という星が北極星ですが,例えば紀元前1100年頃は同じくこぐま座の「コカブ」という星が北極星でした.そして8,000年後には,はくちょう座のデネブが北極星になります.

七夕伝説が生まれた時期の北極星はこぐま座のコカブだと考えられますから,おそらくはコカブが天帝だったのでしょうね.実は「ホモ・サピエンス・サピエンス」つまりは人間が世界規模で拡散し文明を築き始めた1万4,000年前から1万2,000年前の北極星は,こと座のベガでした.コカブもポラリスも2等星で,0等星であるベガとは明るさが格段に違います.文明が生まれた頃,天を支配していた織姫は,その座を「ぱっとしない」お父さんに譲って,自身は天の川のほとりで機を織ることにしたのかもしれません.

ベガは12,000年後に再び北極星になります.そうなれば,織姫はまた天空を支配することになるのでしょう.その頃,牽牛は他の星々と同じように,織姫のまわりを24時間かけて一周する事になります.男は女をめぐるのですね.

なお,北極星に対する信仰は中国の道教に受け継がれ,やがて仏教における妙見菩薩信仰へと受け継がれました.僕が子供時代によく天体観測をした大阪の妙見山はアマチュア天文家の「聖地」だったのですが,日本における北極星信仰の聖地でもありました.関西を訪れる際には「マニアックな訪問地」としていかがでしょうか.

アルタイルとベガの見つけ方

最後に,牽牛ことアルタイルと,織姫ことベガのとっても簡単な見つけ方をご紹介します.晴れていればかなり明るい都会でも見つけられますし,逆に星が綺麗過ぎる場所にお住まいの方も確実に見つけられます.

十字架と大三角を探してみてください(角度は時刻によって異なるため,この写真の通りとは限りません)
十字架と大三角を探してみてください(角度は時刻によって異なるため,この写真の通りとは限りません)

日が沈んだ夜の9時頃,初夏であれば東の方向,もう少し暑くなってきたころなら天頂付近を御覧ください.「夏の大三角」という大きな三角形がすぐに見つかります.ただし天候の関係で,現在の七夕よりも旧暦の七夕,現在の8月上旬頃のほうが見やすいです.

目が夜空に馴染んでくると,大三角のうちの一つの星が,大きな十字架の先端になっていることに気づきます.この十字架の正体ははくちょう座で,十字架の先端の星は「デネブ」です.十字架の右に位置するのがベガ,左に位置するのがアルタイルです.うんざりするほど星が見える地域ならば,ベガとアルタイルの間に天の川が見えるでしょう.

はくちょう座は十字架の足の方向に向かって飛んでいるのですが,これを天の川の上流に向かって登っていっているように見てください.そうすれば,天の川の右岸にベガ,左岸にアルタイルがいることになります.大阪の天野川の右岸には機物(はたもの)神社,左岸には牽牛石があります.在原業平が見立てたとおりに,織姫と牽牛が並んでいることになりますね.

おすすめ書籍

アン・ドルーヤン:COSMOS コスモス いくつもの世界

本書は,米国の科学者カール・セーガンとアン・ドルーヤンが生み出し,40年前に科学ブームを巻き起こした「COSMOS」シリーズの最新作.美しいビジュアルとともに本書が伝えるのは,これまで語られることのなかった,宇宙の真実を果敢に求めた人たちの物語.彼らの行跡や発見を通じ,私たちがやがて目にするかもしれない輝かしい未来が描かれる.
Amazon

およそ35年ぶりにセーガン博士の「コスモス」を読みたくなって本屋で検索したところ,この新しい「コスモス」に出会いました.執筆したのは,セーガン博士の伴侶で,初代「コスモス」の共同執筆者でもあったアン・ドルーヤン.

この40年に蓄積された美しい写真や知見を元に,オリジナルの「コスモス」を大幅にアップデートした書籍でした.とは言え,語り口はあのときのセーガン博士そのもの…はっ,ということは,40年前もセーガン博士,アンに書いてもらっていたの!?

電子版をお求めになるのであれば,KindleデバイスではなくiPadやFire HDのようなタブレットデバイスで読むことをおすすめします.

そうそう,本誌【第5号】でご紹介した映画小説「コンタクト」も是非お楽しみくださいね.

おすすめTEDトーク

TED
TED

セス・ショスタック:E.T.は(多分)いる—心して待て(日本語字幕)

SETIの研究者であるセス・ショスタックは24年以内に地球外生命体を発見できると賭けを申し出ます.そうでなければコーヒーを一杯おごると.何故,発見できるのか.そして,はるかに進んだ社会を発見することによって人類はどう影響を受けるのかについて語ります.
TED

SETI協会の研究者セス・ショスタックによる地球外生命体(E.T.)の探索に関するトークです.私達はまだE.T.を見つけていないが,それも時間の問題だろうと彼は言います.よくよく考えてみれば,この広い宇宙で,地球だけが特別である理由はありません.

SETIを始めたアメリカの天文学者フランク・ドレイクは,我々の住む「天の川」銀河にどのぐらいの知的生命体がいるのかを推定する「ドレイクの方程式」を考えました.ドレイクの方程式を使った推定によれば,銀河に知的生命体のいる惑星が一つだけということはあり得ないのです.

カール・セーガンが繰り返し伝えたように,私達はこの宇宙で,決して一人ぼっちではないのです.

Q&A

匿名質問サイト「マシュマロ」および実名質問サイト「Quora」で質問を受け付けています.普段はツイッターでお返事を書いていますが「ニュースレター読んでます」と入れていただければ,こちらのニュースレターでより長めの回答を書かせていただきます.

今週のピックアップはこちらから.

「砂漠ではスーツがいい」は本当ですか?
Quora

本当です.スーツでなくても,ジャケットと革靴は抑えておきたいアイテムです.

筆者撮影
筆者撮影

特に砂漠を歩くのは革靴が一番良いですし,ジャケットは日差しを遮るのに最適です.

帽子とサングラスもあったほうが良いです.

こちらの匿名質問サイトで質問を受け付けています.質問をお待ちしております.

marshmallow-qa.com

振り返り

このニュースレターでは「振り返り」動画を公開しています.今回はブロックチェーン技術で使われる「デジタル署名」について説明してみました.

普段はポッドキャストに転送できるように,ホワイトボードや黒板を使わずに説明することを心がけているのですが,今回はホワイトボードを使ってみました.僕は普段から絵で物事を考えるので,ホワイトボードやスライドを使った説明は僕にとっては「めちゃくちゃ」楽だったのですが,その分視聴者の視覚を奪っていることにもなるので,できるだけ音声だけでもわかるようにお伝えしていこうと思います.

というわけで,最近は音声メディアにはまっています.気づいたらポッドキャストを4本もやってました.iPhoneやMacのようなアップル製品をお使いの方は以下のリンクからお聞きいただけます.(最初の三つにはウェブ版があります.)

あとがき

今週は「日米先端工学者会議」(Japan-America Frontier of Engineering) という会議に出席しています.オンライン会議なのですが,アメリカの太平洋時間で実施されているため,若干眠いです.この会議でブロックチェーンの専門家とお会いすることが出来ました.彼女に「専門家に会ったらぜひ聞きたいと思っていたんだけれど,サトシ・ナカモトは誰なの?」と聞いてみたんです.

そう,本誌【第27号】【第28号】で追いかけたサトシ・ナカモトです.

彼女の答えは「もちろんわからないわ」.けれども「いたとしたらきっと女性ね」と付け加えていました.僕も確かに,そんな気がしてきました.いつかは,サトシを中心に世界経済が回りそうですから.

さて,もうひとつ,僕が疑問に思っていたことがあります.長い間忘れていて,このニュースレターを書いていて思い出した疑問です.そしてこちらの疑問には,明確な答えがありました.

「ケンタウルス座アルファ」はベガと同じく0等という大変明るい星です.なのに,名前ではなく「1番」を意味する「アルファ」としか呼ばれない悲しい星でもあります.日本の大半でも見ることが出来ず,より緯度の高いヨーロッパからは見えないためかもしれません.英語のSF小説を読んでも「アルファ・ケンタウリ」とされていることが多いので,英語圏でも名前を呼ばれることは稀なのでしょう.このケンタウルス座アルファを,我々は本当はなんと呼ぶべきなのか,というのが僕の疑問でした.

ケンタウルス座アルファの名前はアラビア語で「リジル・カントゥーリス」と呼びます.これは「ケンタウルスの足」という意味です.名のある星の大半がアラビア語由来の名前を持っているので,おそらくは英語風に読み直した「リギル・ケンタウルス」がこの星の名前として今後受け入れられていくでしょう.なおリギル・ケンタウルスはSF小説「三体」のテーマのように「三重星系」です.

もっと面白いことに,ケンタウルス座アルファには生命が存在可能な惑星があるかもしれないのです.2021年2月,ヨーロッパ南天天文台はこの惑星を直接観測したかもしれないと発表しています.

今週も最後までお読みいただきありがとうございます.メールでお読み頂いた皆様は,よろしければボタンを押して行ってくださいませ.(ボタンは匿名化されています.集計したデータはこのニュースレターの内容改善以外には用いません.)

ここに配置されたボタンは、ニュースレター上でのみ押すことができます。

では,また来週,お目にかかりましょう.

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ニュースレター「STEAM NEWS by Ichi」

発行者:いち(金谷一朗)

TEDxSaikaiファウンダー・パイナップルコンピュータ代表・長崎大学情報データ科学部教授

Twitter: @kanaya

Photo by Benjamin Voros on Unsplash