【第12号】ABC予想を中学数学で(雑に)説明する
ついに証明された数学上の難問「ABC予想」を中学数学で説明!
金谷一朗(いち)
2021.03.12
読者限定
いちです,おはようございます.
3月5日,京都大数理解析研究所の望月新一教授の「ABC予想」論文がついに学術誌「PRIMS」に掲載されたとニュースになりました.学術誌は,投稿された論文が正しいかどうかを専門家同士で「査読」するのですが,本論文は難解すぎて,その査読に7年半かかったとのことです.また,論文は掲載後も同業者の厳しい目に晒されますので,論文掲載をもって「研究完了」とはなりません.
それだけ難しい「ABC予想」の証明なのですが,そもそも「ABC予想」とは何でしょうか.共同通信は
ABC予想は,整数の足し算と掛け算の関係にまつわるもの.
共同通信
という雑なまとめ方をしていましたが,これではあんまりなので,もう少し詳しく(僕の理解している範囲で)お話してみましょう.
なおABC予想は「予想」だった時代の名前で,もし望月先生の証明が正しいとなれば「望月の定理」と呼ばれることになるのでしょう.
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- ちょっとした準備:素数と素因数分解
- ABC予想の「雑な」理解
- フェルマーの最終定理
- 足し算と掛け算の関係
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- 振り返り
- あとがき
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