【第17号】ゼロから文明を作り出せ!
いちです,おはようございます.
新年度が始まりました.僕の勤める長崎大学にも日本中から新入生が集まっています.外国からの入学生がキャンパスに足を運ぶのはもう少し先になりそうですが,おいおい集まってくるでしょう.
昨年,オンライン受験相談に来た高校生から「なぜ長崎ちゃんぽんは美味いんですか?」と聞かれました.
「ちゃんぽん」美味しいですよね.この「なぜ長崎ちゃんぽんは美味いのか」というのは,とても深い質問なのです.今週は長崎ちゃんぽんに使われる「ちゃんぽん麺」の秘密を通して,日本に国があるという奇跡,そして,この世界が消えたあと文明を取り戻す方法を共有したいと思います.

特異な国「日本」
日本は世界的に見ると極めて特異な国土を持っています.日本の特異性をいくつか並べてみましょう.
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世界の大地震の1割から2割が日本で起こっている(世界トップです)
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毎年平均して10個以上の台風が日本に近接ないし上陸している(こちらも世界トップです)
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毎年平均して1ヶ月半の雨季がある(世界有数です)
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世界一危険と言われている火山もある火山大国である(マンチェスター大学の2015年のランキングでは1位に硫黄島,4位に阿蘇山が入っています)
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日本の一部は世界有数の豪雪地帯である(人の居住地としては世界最大です)
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森林国で,工業に不利である(日本は世界トップクラスの森林国です)
ここまでで泣きそうになりますが,これでまだ資源があれば救いです.ところが
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岩塩が産出せず,年間降水量が多いところに砂丘海岸が少ないため塩田も作りづらい
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鉄鉱石が取れない
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金鉱石も乏しい
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石油もウラン鉱石も取れない
と踏んだり蹴ったりです.では農業に適した国土かと言えば
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表土の窒素成分が残っていない
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利用可能な真水が少なく,また国土の半分は寒冷で,平地も少ないため,コメの育成に適さない
と,なかなかの「無理ゲー」ぶりです.表土の窒素成分というのは農地の養分のことで,エジプト以外の国は似たりよったりなのですが,最後の「コメの育成に適さない」は意外に思われるかもしれません.日本は降水量こそ世界平均の2倍ほどありますが,水を溜め込む地形に乏しく,利用可能な真水は少ないのです.また,コメは本来南国の作物で,必ずしも日本の気候に適していたわけではありません.
もうここまで来ると,狩猟や酪農しか生きる道は残っていなさそうなのですが,歴史上の日本人たちはその道を選ばず,ひとつひとつ困難を克服していきました.特に「水田」によってコメを育て,「たたら製鉄」によって砂鉄から鉄器を作り,少量の金でも薄く伸ばす技術を磨いて美術品を「金ぴか」にすることさえ可能にしました.日本の職人は,和紙を使って金を1万分の1ミリメートルまで薄く伸ばすことが出来たようです.[参考文献1]
そんな日本人が手に入れられなかったものがあります.
石鹸は紀元前3000年頃に発明されたと言われていますが,日本で最初に石鹸が作られたのは1824年(19世紀,江戸時代後期)で,普及したのは20世紀からです.世界的には18世紀末から石鹸が普及しているので,1世紀ほど出遅れています.
ガラスの製法は紀元前2000年頃にエジプトで見つかったと考えられています.紀元前1世紀後半には,アレクサンドリアで「吹きガラス」も発明されています.日本では弥生時代から天然ガラスを使った宝飾品が作られていましたが,平安時代には一旦廃れます.その後ガラスが生活の場に入ってくることはなく,日本人がガラス製の「器」を手にしたのは1549年のフランシスコ・ザビエル来日まで待たねばなりません.
日本でのガラス製造はその後の江戸時代を通じて花開いていきますが,透明度の低いガラスしか作れませんでした.現在手にしているような透明度の高いガラス(ソーダ石灰ガラス)が日本でも生産可能になったのは大正時代からです.
日本の「ラーメン」の原型は江戸時代末期に外国から持ち込まれたものだと言われています.日本式ラーメンとも言われる現代の形のラーメンとなると1910年(明治43年)の横浜中華街の「来々軒」が売り出して以降と言いますから,ようやく100年経ったところです.新横浜ラーメン博物館のブログによると,室町時代にラーメンが提供された記録があるようですが,定着はしなかったようですね.
中国では「日式拉麺」と呼ばれている現代のラーメンは,中国のオリジナルとは似ても似つかないようですから,オリジナルの方を「中華麺」と仮に呼ぶことにしておきましょう.そう言えば,僕が20代のときに住んだことのある和歌山ではラーメンよりも「中華そば」という呼び方のほうが一般的でした.僕の中国人師匠から真顔で「ラーメンと中華そばはどう違うのですか?」と聞かれたことを思い出します.もちろん,同じものでした.
さて,石鹸,ガラス,中華麺の共通点は何でしょうか.
日本に無かったもの
石鹸,ガラス,中華麺を作る上で必要なもの,それは「ナトリウム」という元素です.
え?ナトリウム?海にたくさんあるのでは?
と思われた方は,相当「わかってらっしゃる」方です.そうなんです,ナトリウムは海に「塩化ナトリウム」として大量に(3.5パーセント程度)溶け込んでいます.塩化ナトリウムは食塩の主成分で,日本古来の高級塩である「囲塩(かこいしお)」はほぼ塩化ナトリウムだけで出来ています.
このニュースレターを書いている最中にツイッターで「塩化ナトリウムを控えて良質な天然の塩を摂りましょう」のような珍説が流れてきましたが,良質な天然塩の主成分(概ね9割以上)は塩化ナトリウムです.どうか勘違いなさらないようにして下さいね.[参考文献2]
塩化ナトリウムは「塩素」と「ナトリウム」が固く結びついたものです.そして,石鹸,ガラス,中華麺に必要だったもの,それは「炭酸ナトリウム」という別の種類のナトリウム化合物でした.こちらは「炭素」「酸素」がナトリウムにくっついたものです.
塩化ナトリウムを通称「食塩」と呼ぶように,炭酸ナトリウムにも通称があります.それは「ソーダ灰」と言います.後で出てくる「ソーダ石灰」とは別物で「ソーダはい」と呼びます.名前だけ見ると酎ハイみたいですが,化学物質の名前です.
この炭酸ナトリウムは,地域によっては天然に産出します.アジアではモンゴルが有名で,北米でも産出します.イギリスや北欧では炭酸ナトリウムの原料となる海藻(ヒバマタ)が採取できます.しかし日本では,天然の炭酸ナトリウムが手に入りません.また炭酸ナトリウムを塩化ナトリウムつまりは海水から作り出すことは「ソルベイ法」の実用化まで不可能でした.ソルベイ法は1861年にベルギー人化学者エルネスト・ソルベイによって発明され,1867年に実用化されました.
日本では炭酸ナトリウムが手に入らず,結果として石鹸やガラスが大々的に作られることはありませんでした.また中華麺は,米のご飯が美味しすぎたという理由があったのかもしれないのですが,文化としては途絶えていました.
ところで,僕の出身地の大阪は「ラーメン不毛の地」と言われていますが,大阪人に言わせると「ラーメン?んなもん,戦後の食糧難のときに食うもん無かった地域が名物にしよっただけや」なんだそうです.
日本式ラーメンと長崎ちゃんぽん
今や日本の国民食と言われているラーメンですが,ラーメンに使われている「麺」は小麦粉に「かん水」を混ぜて作ります.このかん水はもともとはモンゴルの湖の水で,炭酸ナトリウムを多く含むものでした.日本では「唐」から来た「灰汁(あく)」ということで「唐灰汁(とうあく)」と呼んでいました.灰汁は本来,草や木を燃やした灰を水に浸して,その上澄みをすくったものです.使用目的や化学的性質が似ていたから,輸入したかん水も灰汁と呼んだのでしょうね.
しかし,今日の日本のラーメン(日式拉麺)に使われているかん水は唐灰汁ではありません.日本のラーメンは炭酸ナトリウムより入手しやすい「炭酸カリウム」を使っているのです.炭酸カリウムは,本来の意味の灰汁の主成分です.
さて,ここで冒頭の質問に戻ります.
「なぜ長崎ちゃんぽんは美味しいの?」
もちろん,普通のラーメンも美味しいですけれどね.そう,ご想像の通り,長崎ちゃんぽんは唐灰汁こと炭酸ナトリウムを主成分とするかん水を使っているのです.実は食品グレードの唐灰汁を作るには特殊な免許が必要で,日本では長崎でしか生産されていないんだそうです.これが長崎ちゃんぽんの秘密だったのですね.
この世界が消えたら?
ところで,最近アニメ「Dr.STONE(ドクター・ストーン)」を見始めました.ちょっと出遅れましたかね.ドクター・ストーンでは,ある日人類が一斉に石になってしまいます.それからおよそ3,700年が経過して,高校生の主人公ふたりが石化から解かれます.本作は,ひとりは頭脳,ひとりは体力を駆使して,再び文明を築いていこうとする物語です.
この漫画原作のアニメには,さらに下敷きになった書籍があります.それが「この世界が消えたあとの科学文明のつくりかた」という本です.この本では,ある日突然,自分(と少数の仲間)以外の人類が突如世界から姿を消したら,どうやって再び科学文明を再建するかというテーマが語られています.
とても面白い本で内容も多岐に渡っているのですが,本当のエッセンスだけをご紹介したいと思います.それはドクター・ストーンのキーアイテムでもあり,日本人が何千年もの間手に入れられなかったもの,中華麺…じゃなくて,石鹸です.
石鹸は,もちろん身の回りを清潔に保つために使うものです.
この清潔さというのは人類が何千年もかけて見つけた「キラーアイテム」で,これによって生存の確率が一挙に高まったのです.農耕の歴史は1万年を超え,2万年を超えるという説さえもありますが,人類が「あれ?清潔さって生きる上で大事なんじゃね?」と気づいたのはおよそ100年前です.日本の江戸時代は同時代にしては先進的だったため,日本にいると気づきにくいですが,世界史を見ると本当にひどいものです.
例えば19世紀イギリスでは「ホメオパシー」というインチキ医療が大流行しますが,当時は病院が不潔で,病院に行くぐらいなら自宅でインチキ医療を受けたほうがましだったというのが実情のようです.ここらへんの事情はサイモン・シン「代替医療解剖」に詳しく書かれていますので,ご興味のある方は是非お読みください.
というわけで,この世界が消えたら,真っ先に石鹸を確保してください.
もし石鹸が手に入らなかったら?
あるいは石鹸を生産しなければならなくなったら?
そんな皆さんのために,この世界が消えたあとの,石鹸の作り方をご紹介します.
石鹸を作る
石鹸は動物からとれる脂肪または植物性油と「強アルカリ」を反応させれば作ることができます.問題は天然の物質から強アルカリを作る方法で「この世界が消えたあと」では三通りの方法が紹介されています.
それらを便宜上「山コース」「海コース」「街コース」呼びましょう.「海コース」「街コース」では最終的に食塩水が必要になります.海水を汲んでおいてから,進めてください.
山コース
石灰岩または玉子の殻などを焼きます.いずれも「炭酸カルシウム」を豊富に含んでいて,日本でも大量に手に入ります.これらを焼くことで純粋な炭酸カルシウムを入手します.
炭酸カルシウムを825度以上の温度で焼きます.これで「酸化カルシウム」(生石灰)が手に入ります.生石灰(せいせっかい)は後で出てくる消石灰と名前が紛らわしいので「きせっかい」とも読みます.
なお燃焼温度を825度まで上げるためには,木材を一旦蒸し焼きにした「木炭」を使う必要があります.木材のままだと水分が多すぎて燃焼温度が上がらず,通常は450度ぐらいになります.書籍「この世界が消えたあと」には書かれていないので,補足説明です.
酸化カルシウム(生石灰)に水を加えます.このとき激しく発熱するので注意してください.生成物は「水酸化カルシウム」(消石灰)と言います.
消石灰は一旦置いておいて,今度は木を燃やした灰を水に溶かして,その上澄みを取り出します.この上澄み液,つまり灰汁には「炭酸カリウム」が含まれています.
水酸化カルシウム(消石灰)と炭酸カリウム(灰汁)を混ぜます.生成物は「水酸化カリウム」(苛性カリ)という強アルカリです.
水酸化カリウムと脂肪を混ぜ合わせると,石鹸が出来上がります.
この石鹸は「カリウム石鹸」と言って,他のコースで作る「ナトリウム石鹸」つまりは僕たちが普段使っている石鹸とは少し異なりますが,無いよりはよほど良いので我慢します.カリウム石鹸は液体石鹸で,強い洗浄力を示すのですが,人間に使うには危険なので,できれば次の「海コース」または「街コース」を選びたいところです.
海コース
貝殻を焼きます.貝殻も「炭酸カルシウム」を豊富に含んでいて,焼くことで純粋な炭酸カルシウムが手に入ります.
炭酸カルシウムを825度以上の温度で焼きます.これで「酸化カルシウム」(生石灰)が手に入ります.(山コースと同じです.)
酸化カルシウム(生石灰)に水を加えます.このとき激しく発熱するので注意してください.生成物は「水酸化カルシウム」(消石灰)と言います.(山コースと同じです.)

ヒバマタ, Stemonitis, CC BY-SA 2.5
海藻(ヒバマタ類)を焼いて「炭酸ナトリウム」(ソーダ灰)を手に入れます.ヒバマタ類は北海道沿岸,東北地方沿岸,日本海沿岸(の一部)で見つかるようです.
水酸化カルシウム(消石灰)水溶液と炭酸ナトリウム(ソーダ灰)水溶液を混合します.生成物は強アルカリの「水酸化ナトリウム」(苛性ソーダ)なので注意してください.
水酸化ナトリウムと脂肪を混ぜ合わせて,食塩水に漬け込むと石鹸が出来上がります.
街コース
石灰岩,貝殻,たまごの殻などを焼いて「炭酸カルシウム」を手に入れます.炭酸カルシウムを825度以上で焼いて「酸化カルシウム」(生石灰)を手に入れます.このとき「二酸化炭素」が発生するので,こちらも回収しておきます.
酸化カルシウム(生石灰)に水を加えて「水酸化カルシウム」(消石灰)を手に入れます.
ちょっと恥ずかしいですが,我慢して「おしっこ」を集めて発酵させます.これで「アンモニア」が手に入ります.強烈な匂いがするので気をつけてください.(僕はこの世の終わりかと思いました.)
海水から飽和食塩水を作り,そこにアンモニアを溶かして,さらに二酸化炭素を溶かします.そうすると「炭酸水素ナトリウム」(重曹)が沈殿します.
炭酸水素ナトリウム(重曹)を焼きます.その結果「炭酸ナトリウム」(ソーダ灰)が手に入ります.
水酸化カルシウム(消石灰)水溶液と炭酸ナトリウム(ソーダ灰)水溶液を混合し「水酸化ナトリウム」(苛性ソーダ)を得ます.強アルカリなので気をつけてください.
水酸化ナトリウムと脂肪を混ぜ合わせて,食塩水に漬け込むと石鹸が出来上がります.
以上のような方法で,僕たちは石鹸を手に入れることが出来るのです.最後の「街コース」は1861年に発明された「ソルベイ法」そのものなのです.
そしてそして,もうお気付きの通り「海コース」と「街コース」で石鹸を作る過程で炭酸ナトリウム(ソーダ灰)が生まれています.これがあれば,ちゃんぽんを作れますね.また水酸化カルシウム(消石灰)を中心に水酸化ナトリウム(苛性ソーダ),水酸化カリウム(苛性カリ)が混ざったものを「ソーダ石灰」と呼びます.これは現在のガラスに使われる原料です.
世界は終わるの?
そんなこと言っても,世界は終わるの?
というのは,もっともな疑問です.本当に世界が終わって,人類だけが生き残るシナリオは考えられるでしょうか?
可能性は無くはないのです.ひとつは「太陽フレア」による広範囲な電力網の破壊が考えられます.また「太陽フレア」に匹敵する,あるいはそれを超える人為的な攻撃手段がすでに存在します.なおかつ,その攻撃手段を日本の隣国が持っている可能性があります.
もうひとつ,日本ならではと言える危険をご紹介しておきましょう.

鬼界カルデラ外輪の薩摩硫黄島, 名古屋太郎 ,CC BY-SA 3.0
九州の南の海に「鬼界カルデラ」というカルデラ(火山活動による凹地)があります.約7,300年前に超巨大噴火を起こしており,過去1万年の間で,つまりは人類文明の歴史上,最大の噴火と推測されています.
この超巨大噴火は,九州南部の縄文文化を絶滅させたと言われています.その後1,000年近く,九州南部に人類が戻ってくることはありませんでした.
鬼界カルデラは少なくとも9万5,000年前と14万年前にも噴火を起こしています.つまり繰り返し噴火するということで,次回が無いとは言い切れません.直撃を逃れられたとしても,次回も日本全体が破壊的な被害を受けるでしょう.
いまから「Dr.STONE」を観て勉強しておきましょう.
このニュースレターも生き残るために必要なことをこれからも書いていきますので,この世界の終わりに備えるためにも,是非購読してくださいね.
おすすめ書籍
ゼロからどうすれば文明を再建できるのか?穀物の栽培や紡績,製鉄,発電,電気通信など,生活を取り巻く科学技術について知り,「科学とは何か?」を考える,世界15カ国で刊行のベストセラー!
というわけで,おすすめ書籍はもちろん「この世界が消えたあとの科学文明のつくりかた」を持ってまいりました.
著者はイギリス人宇宙生物学者のルイス・ダートネル教授です.本書はコロナ禍より前の2014年に書かれているにも関わらず,大規模な感染症によって「この世界が消えたら」という仮定から出発しています.
このニュースレターでご紹介した「石鹸の作り方」も紹介されていますが,世界が消えたら真っ先に水と食料を確保し,それで時間を稼いでいる間にエネルギーと,そして「科学的知識」を確保しなさいと説いています.
僕たちはおよそ10年にわたって,年1ヶ月ずつですが,エジプト西方砂漠(サハラ)のオアシスで遺跡の調査に関わってきました.毎年考えたことは,水,油(エネルギー),そして紙(知識)があれば,人間なんとか文明を維持できるということでした.
もしこのニュースレターを読んでいる学生さんがいてくださったら,いずれ僕たちと一緒にエジプトの調査をしませんか?

一瞬にして世界中すべての人間が石と化す,謎の現象に巻き込まれた高校生の大樹.数千年後――.目覚めた大樹とその友・千空はゼロから文明を作ることを決意する!!空前絶後のSFサバイバル冒険譚,開幕!!
そしてそして,これはご紹介せずにはいられません.おそらくは「この世界が消えたあと…」を下敷きにした傑作漫画「Dr.STONE(ドクター・ストーン)」です.アマゾンプライム会員ならアニメも無料で観られます.(本稿執筆時点)
いや,本当に面白い!
おかげでこのニュースレターを書いているのが木曜日の深夜になってしまいました.時間泥棒なのでご注意くださいね.
おすすめTEDトーク
人類はどこにでもいます.すべての大陸に居住地があり,もっとも辺鄙なジャングルや海原やツンドラにも人類が見られます.人類の及ぼす影響は大きく,地球の地質記録に恒久的な痕跡を残していると多くの科学者は考えています.では,人類が突如消えたとしたら何が起きるのでしょう? ダン・クワートラーが探ります.
TEDの教育プログラムであるTED-Edからのご紹介です.もし人類が突然消えたら,その後の地球はどうなっていくのか,現在知られている知見を元にわかりやすく紹介しています.意外なことに,多くの動物が人間なしでは生きていけないことなんかも語られています.
TEDトーク「トーマス・トウェイツ:トースターを1から作る方法」も大変おもしろいのですが,本ニュースレター【第6号】ですでにご紹介済みなので,今回はこちらの動画のご紹介でした.
Q&A
匿名質問サイト「マシュマロ」および実名質問サイト「Quora」で質問を受け付けています.普段はツイッターでお返事を書いていますが「ニュースレター読んでます」と入れていただければ,こちらのニュースレターでより長めの回答を書かせていただきます.
今週はQuoraに寄せられたご質問の回答を転載させていただきます.
のこぎりのルーツは何処にあり いつから使われだしていますか?
エジプト初期王朝時代にのこぎりが使われています.初期王朝時代は紀元前3100年頃から紀元前2686年頃なので,今からおよそ5,000年前には使われていたことになります.現在とは違って,使われていたのは銅製ののこぎりでした.これより古い記録はまだ発見されていません.
こちらの匿名質問サイトで質問を受け付けています.質問をお待ちしております.
あとがき
ニュースレターとブログの違いについて,僕はこれまで「特定の人に向けて書くのがニュースレター,不特定の人に向けて書くのがブログ」だと思ってきました.でも最近,元週刊文春編集長の新谷学さんを取材したドキュメンタリー「2016年の週刊文春」を読んで,気づいたんです.ニュースレターはハードウェア,ブログはソフトウェアに似ていると.
僕はハードウェア製品の製造,販売も,ソフトウェアの公開もしています.ソフトウェアの場合は,ひとまず公開して,不具合(バグ)はおいおい修正していこうというスタイルになることが多いです.一方のハードウェアは,一度出荷してしまうと,まず修正できません.
つい最近,ハードウェアを出荷したんですよね.そのときに「この気持は何かに似ている…なんだろう…最近毎週感じているあの気持…はっ!」と気づいたのです.
ニュースレターはハードウェアに似ている.
きっとハードウェアだけじゃなくて,ソフトウェア以外の産業に関わってらっしゃる方は「何かを出荷する」たびに同じようなドキドキを体験されているのでしょうね.気になる方は同じく theLetter の「MIDI寄りものづくり ねこびっと通信」もご参考になるのではないでしょうか.
新谷学さんとは京都で一度お会いしたことがあります.「文春砲」の内幕を気さくにお話しいただき,本当に楽しい方でした.
もうひとつ,週刊文春から学んだことがあります.週刊文春では,特集記事の長さをおよそ5,000字程度にしているとのこと.このニュースレターは最近1万字を超えることが多いので,ちょっと反省しています.また感想をツイッターなどでお聞かせいただけたら嬉しいです.
ところで,今週は振り返りポッドキャストをお休みさせていただきました.僕のYouTubeチャンネルと統合するためにいま準備をしているところです.再開が決まりましたらまっさきにこちらのニュースレターでご案内させていただきます.
では,また来週お目にかかりましょう.
参考文献
ニュースレター「STEAM NEWS by Ichi」
発行者:いち(金谷一朗)
TEDxSaikaiファウンダー・パイナップルコンピュータ代表・長崎大学情報データ科学部教授
バックナンバーはこちらから👉 https://steam.theletter.jp
匿名質問はこちらから👉 https://marshmallow-qa.com/kanaya
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