★ ガロアのノート【第41号別冊】

「数学を永遠に変えたフランスの美少年」の執筆にあたって参考にした文献
金谷一朗(いち) 2021.09.22
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さて,本誌【第41号】でお伝えした「数学を永遠に変えたフランスの美少年」ことエヴァリスト・ガロアについて,執筆時に参考にした情報をまとめます.

こちらはもっと勉強したい人向けの「足がかり」としてお送りするものです.特にストーリーはありませんので,ご関心のない方は読み飛ばしてしまってください.

ガロアの生涯を調べるときの困難

ガロアの生涯について書かれた本やウェブページは非常に多くあります.生まれが1811年という激動期のフランスで,なおかつ政治活動も熱心に行っていましたから,数学者としては異例なほど文献が残されています.

しかしながら,転記ミスが重なっているのでしょうか,同一の書籍の中でも日付が矛盾するような書き方が散見されます.例えばガロアが刑務所から仮出所したのは1832年3月16日ですが,このとき「6ヶ月の刑期をおよそ1ヶ月残していた」とされます.となると刑務所に入ったのは1831年の11月前後でないと計算が合わないのですが,書籍によっては別の月になっています.

STEAM NEWS 執筆時にはおよその日付にあたりをつけて文献を調べ,彼が禁固刑の有罪判決を受けた日を1831年10月23日と同定しました.

歴史学の調査手法のひとつに,文献の転記ミスを追いかけていって系統樹を作るというものがあります.転記が重なるたびに,オリジナルから離れていくと考えられるので,テキストの「離れ具合」を計測することで新旧や枝分かれポイントを見つけるのです.まるでDNAの変化を追いかける進化生物学のようですが,歴史学のほうが手法としては先です.

僕はそこまでの調査はしませんでしたが,徐々にミスが広まっていく様子がおぼろげながら見えてきて面白かったです.

さて,ガロアの決闘に関しては,複数の陰謀説があります.特に彼のセコンドが逃げてしまっていることから,ガロアは決闘に見せかけた自殺をしたという説もあります.

ガロアが愛したステファニー・フェリスとはどんな人?

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