★ 佐渡金山のノート【第64号別冊】
アブ・シンベル神殿の保存とエスニック・ジョーク/英国面と透明なダム/強制労働と世界遺産/大久保長安と佐渡金山/金銀バナジウムとノーベル賞メダルに関する資料/日本遺産にひとこと/次回予告
金谷一朗(いち)
2022.02.09
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さて,本誌【第64号】でお伝えした「佐渡金山」について,執筆時に参考にした情報をまとめます.
別冊はもっと勉強したい方向けの「足がかり」や余談としてお送りするものです.お時間のある時にお楽しみ頂ければ幸いです.
アブ・シンベル神殿の保存とエスニック・ジョーク
スウェーデンチームが行ったアブ・シンベル神殿の移築の写真が残っています.
文化遺産の保存方法というのは,結構「お国柄」が出る分野だと僕は思います.
日本はともかく忠実に保存しようとしますし,壊れてしまったら再現しようとします.熊本城の修復が良い例ですが,残っている部分は「そーっ」としておいて,崩れた箇所に出来るだけ元のピースをはめ込もうとするのです.この方法はカンボジアのアンコール遺跡の修復の,日本担当部分でも用いられています.
合理的なドイツ流では,壊れた遺跡を最新のテクノロジーで修復していきます.場合によっては,鉄筋コンクリートで壊れた箇所を作り直します.日本で言えば大阪城がそれにあたるでしょう.スウェーデンチームもドイツ合理主義に近いかもしれません.