【第7号】音楽がインスパイアした科学
いちです,おはようございます.
先月の話になりますが,地球から約40光年離れた星「TRAPPIST-1」の様子がより詳しくわかってきたようです.この星には7個の地球型惑星が発見されており,うち3個は地球と同じく「ハビタブルゾーン(生存可能圏)」にあると考えられています.もし人類が地球を脱出するとしたら,行き先候補になっている惑星系です.先月のニュースはこの7個の惑星の密度がほぼ等しいという発見でした.今週ご紹介する「TEDトーク」にもこの「TRAPPIST-1」が出てきますので,どうか最後までお付き合いください.
さて,今週は音楽が数学や科学に与えた影響をお話したいと思います.数学や科学が音楽に影響を与えたという話ではありません.その逆の話なのです.
テクノロジーが音楽を永遠に変えてしまった話は歴史にあふれています.エジソンの「蓄音機」は音の録音,再生を可能にする装置でしたが,この装置は「録音を前提に」演奏するという従来無かった演奏スタイルを生み出しました.エジソンが実用化した電気によって,エレクトリック・ギターのような電気楽器が次々と生まれていったこともご存知のとおりですし,同じく彼が発明した映画技術はミュージックビデオという新しい音楽メディアの基盤になりました.
科学にインスパイアされた音楽も世界にたくさんあります.冨田勲のアルバム「ドーン・コーラス」は太陽から吹き出す粒子「太陽風」が地球の磁気と作用するときに生じるノイズや,恒星からのパルス信号を音源にしています.(YouTubeで “Isao Tomita Dawn Chorus” で検索すると聞けます.)
これらの逆で「音楽が科学をインスパイアした」いくつかの事例を,今週はご紹介したいと思います.結果として,それらのうちふたつは間違っていて,ひとつは科学に革命を起こしました.
ここでお話するのは,音楽の基本要素である「音階」です.現在では数学や科学が音階を決めていますが,かつてその逆だったことがあるのです.

音階
人類は旧石器時代から,動物の骨で作った笛を鳴らしていたようです.音階がいつ頃生まれたかはわかっていませんが,よく響き合う笛のペアを人類は見つけていたかもしれません.
弦楽器が発明されると,よく響き合う音同士の組み合わせがいろいろ見つかったことでしょう.2本の弦を同じ強さで張った場合,弦の長さが同じ,つまり「1:1」の比率であれば同じ「音程」の音が鳴ります.もし片方を半分の長さ,つまり「2:1」にすれば,その弦からは1オクターブ高い音が鳴ります.比率が「整数」対「整数」になっているので,これを「整数比」と呼びます.
他の整数比を用いるとどうなるでしょう.例えば弦の長さを「3:2」にしてみましょう.そうすると2:1の時とは違った,さらに美しい響きが得られます.現在の言葉で言えば「完全5度」という関係になります.この3:2の比率を使うと,いろいろな音階が得られます.
いま,ある弦を弾いて鳴った音を「レ」としましょう.この弦の長さを2/3倍にして弾くと「ラ」に相当する音が鳴ります.さらに2/3倍,つまり元の長さの4/9倍にすると「ミ」の音が鳴ります.ただし,この「ミ」は1オクターブ高いので,倍の長さの8/9倍を使います.「ミ」の2/3倍にあたる16/27倍の弦からは「シ」の音が鳴ります.
また元の弦の長さを今度は3/2倍つまり1.5倍にすると「ソ」に相当する音が鳴ります.もう一度3/2倍,合わせて9/4倍すると「ド」の音が鳴ります.この「ド」は1オクターブ低いので,弦の長さを半分にして9/8倍にしておきます.「ド」のさらに3/2倍にあたる27/16倍の弦からは「ファ」の音が鳴ります.

ピタゴラス音律と弦の長さ
弦の長さを2/3倍にしたり3/2倍にしたり,つまり3:2の比率(およびオクターブを表す2:1の比率)だけを繰り返し用いることで,ドレミファソラシという音階が見つかりました.この音階は「ピタゴラス音律」と言って,初期ルネサンスまでの西洋音楽で用いられていました.
ピタゴラス音律では「ド」(9/4倍)と「ソ」(3/2倍)の比率が3:2になる他,「ファ」(27/16倍)とオクターブを調整した「ド」(9/8倍)の比率も3:2です.音楽に詳しい方は「ドミソ」の和音や「ファラド」の和音を思い浮かべていただくと良いかもしれません.このときの「ド」と「ソ」の関係や「ファ」と「ド」の関係が完全5度ですね.
一方で「ド」とオクターブを調整した「ミ」(16/9倍)の比率はややこしいことに81:64となります.81:64の代わりに,ほぼ等しい比率である5:4を用いた調律は「純正律」と呼ばれます.(他に「ド」と「シ」の比率がピタゴラス音律では243:128になりますが,純正律では15:8に変更されます.)
2:1のあいだ
ピタゴラス音律も,それを少し調整した純正律も整数比を使ったものでした.特徴は2:1という「考え得る限り最も単純な比率」つまりオクターブの中間に7個の音階「ドレミファソラシ」を置いたこと,そして,すべての音階が整数比で表されていることでした.音階が美しく響くこと,それらが整数比で表されることは,大変に美しく見える関係でした.
また,偶然にも天動説における惑星(日月火水木金土)が7個あったことも,7音階こそが神の差配だと人々に信じ込ませる根拠になりました.地動説を理解していたドイツ(当時は神聖ローマ帝国)の天文学者ヨハネス・ケプラーでさえも,天体の運行を音階で説明しようと試みたほどです.説明はうまくいきませんでしたが,惑星運行に関する「ケプラーの法則」の発見には結びついたようです.[参考文献1]
なお【創刊3号】で触れた科学者ガリレオ・ガリレイはこの当時,ケプラーにファンレターを送っていたようです.その13年後,ガリレオは「星界の報告」を出版して地動説を公然と支持します.その後のガリレオについては,是非【創刊3号】をお読みください.
さてここで,純正律による弦の長さの比率を示しておきましょう.今度は「ド」を基準にします.
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ド 1/1
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レ 8/9
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ミ4/5
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ファ 3/4
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ソ 2/3
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ラ 3/5
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シ 8/15
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1オクターブ上のド 1/2
音楽における調律は長い間,その幾何学的で美しい関係ゆえに,天文学のみならず,様々な学問への影響を与え続けました.
虹
音階が科学に影響を与えた一つの例は「虹」です.

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イギリスの物理学者アイザック・ニュートンは太陽光をプリズムに通して現れた虹の色を,赤,黄,緑,青,紫の5色に分けていましたが,その後,7音程にならって赤,橙,黄,緑,青,藍,紫の7色にしました.[参考文献2, 3]
日本で教えられている虹の7色「赤橙黄緑青藍紫」は,このときのニュートンの「こじつけ」なのです.虹が7色に見えなくても全く問題はありません.もし無理に7色に分けるのであれば,緑と青の間にシアン(水色から青緑色に近い色)を入れて,その代わり藍を抜くのが近代の理解です.つまり「赤,橙,黄,緑,シアン(水),青,紫」ですね.虹の中に藍色が見えなくても心配いりません.
なお「紫」のほうも若干問題があります.虹の7番目の色は英語圏ではバイオレット (violet) と言います.バイオレットは「紫」とするよりも「菫(すみれ)」と訳したほうがより正確かもしれません.少なくとも日本工業規格(JIS)や,国内でよく使われている色見本「DICカラーガイド」では「紫」と「菫色」を区別しており,DICカラーガイドでは「菫色」の英訳に「バイオレット」を当てています.
その後のニュートンですが,同僚科学者からの質問に答えるなかで「ケプラーの法則」の背後にある宇宙の仕組み「万有引力の法則」に気づき,ついには「自然哲学の数学的諸原理(プリンキピア)」という本を出版します.物体の運動と天体の運行を数学的に示したこの本は,現代に至るまでのあらゆる科学書の中で最も重要な書籍でしょう.近年では,ニュートンと同じくケンブリッジ大学にいたスティーブン・ホーキングが解説書を出版しています.
元素
もう一つの例は「元素(エレメント)」です.元素とは物質の構成要素のことですね.古代中国では「木火土金水」の5種類が,古代ギリシアでは「火・土・水・空気」の4種類あるいは「火・土・水・空気・エーテル」の5種類が元素だと考えられていました.第5の元素エーテルは天界を満たす物質とされました.
エジプトからヨーロッパに持ち込まれた錬金術(アルケミー)は,やがてこの地で化学(ケミストリー)となり,次々と物質を構成する元素の性質を明らかにしていきます.現在,元素は水素,ヘリウム,リチウム…など118種類が確認されています.特に18世紀の「酸素」発見は「火」(可燃物と酸素の化学反応)「土」(主に酸化物で出来ている)「水」(酸素と水素の化合物)「空気」(主に窒素と酸素の混合物)が元素でないことを示したことで,一つの区切りになったと言えるでしょう.
19世紀イギリスの化学者ジョン・ニューランズは,当時知られていた元素62種類を重さ順に並べると,8個おきに似た元素が現れると主張しました.「ド」から始めると8個目に再び「ド」が現れるのと似ている,というよりもこじつけたことから,ニューランズはこの法則を「オクターブの法則」と呼びました.
具体例を見てみましょう.彼の作った表の3列目はこうなっています.[参考文献4]
リチウム(Li),ナトリウム(Na),カリウム(K),銅(Cu),ルビジウム(Rb),銀(Ag),セシウム(Cs),オスミウム(Os)
元素を重さ順に並べると,リチウムから8個おきにナトリウム,カリウム…が現れるという意味ですね.そしてニューランズはこれらの元素の性質が似ているとしました.
ニューランズの3列目は現在「アルカリ金属」と呼ばれている「族」すなわちリチウム(Li),ナトリウム(Na),カリウム(K),ルビジウム(Rb),セシウム(Cs),フランシウム(Fr)の元になりました.ちなみに,理系の学生さんはこのアルカリ金属を「リッチ(Li)な(Na)彼(K)とルビー(Rb)せしめて(Cs)フランス(Fr)へ」などと覚えます.
アルカリ金属は共通して柔らかく,低い温度で液体になり,軽く,激しい化学反応を起こします.例えばナトリウムは水と反応して激しく燃え上がります.またアルカリ金属は炎の中に入れると特有の色を示すため,花火の着色に必ず用いられます.リチウムは深紅色,ナトリウムは黄色,カリウムは薄紫色,ルビジウムは暗赤色になります.
ニューランズの研究は画期的だったのですが,当時知られていた元素が少なかったこと,そして「8個おき」というアイディアに固執しすぎたことが誤った結果に陥る原因になってしまいました.しかし,このアイディアはロシアの化学者ドミトリ・イヴァーノヴィチ・メンデレーエフの歴史的かつ決定的な研究へと引き継がれます.
メンデレーエフは「8個おき」というこだわりを持たずに元素の表を作りました.メンデレーエフが元素の表に取り組んだ時点では,まだ63種類の元素しか知られていませんでしたが,なんとメンデレーエフは「未知の元素があるはず」という信念のもと,表に空白を残したのです.例えば,メンデレーエフはアルミニウムの隣に,まだ見つかっていない「アルミニウムとよく似た元素(エカ=アルミニウム)」があるはずだとして空白を残しました.この空白には5年後に発見された新元素「ガリウム」が収まりました.
メンデレーエフが作った元素の表は,118個の元素を並べた現在の「周期表」の元になりました.
光
最後の例を上げましょう.「偉大な科学者は同時に芸術家でもあるのです」と言った科学者がいます.20世紀最大の科学者,ドイツからアメリカへ亡命したアルベルト・アインシュタインです.彼は理論を言葉や数式ではなく,脳内のイメージで捉えていました.言葉や数式を使うのは,それを人に伝える段階になってからでした.
アルベルトは言います.
I often think in music. (私はよく音楽で考える.)
1922年京都での講演内容から想像すると,アルベルトにノーベル賞をもたらした「光量子仮説」(1905)は,音楽によってイメージされた可能性があります.[参考文献5]
光量子仮説は,当時「波」の一種だと考えられていた光が,粒子としての性質を持つと主張するものでした.アルベルトはこのアイディアを,ドイツの物理学者マックス・プランクの研究から得ました.プランクの主張は,光の持つエネルギがいつも「整数比」になるというものでした.
アルベルトは,光が音のような波ではなく,ひょっとしたら「粒」なのではないかと仮説を立てたのです.これは,音を弦の振動ではなく「音符」とみなすようなものでした.アルベルトが音階と光のエネルギを結びつけて考えたかどうかは,今となってはわかりません.しかし,この理論を思いついた時,音楽と彼のバイオリンが助けになったことは確かなようです.
アルベルト以前の物理学者は,光を波だと考えていました.波ということは,波を運ぶ水や空気のような要素(エレメント)が必要です.実はこの当時,物理学者の間で,天界を満たす元素「エーテル」があるはずだという考え方が復活していました.光は「エーテルを伝わる波」だと考えたのですね.前述のメンデレーエフも,自身の元素の表に「エーテル」を書き加えています.
しかし,アルベルトの「光量子仮説」そして同じ年に発表された「特殊相対性理論」はエーテルが存在しないことを明確にしました.「光量子仮説」はエーテルが必要ないこと,「特殊相対性理論」はもしエーテルがあっても絶対に検出できないことを主張したのです.
数学が決めた音律
ところで,整数比からスタートした音律でしたが,現代では非整数比が一般的に使われています.最も一般的な十二平均律は,1オクターブの比率2:1を12等分したものです.ただし,比率の等分ですから,ちょっとした数学が必要になります.
「ド」の音がなる弦の長さを1/xにして「ド♯」にします.次に「ド♯」の弦の長さを同じく1/xにして「レ」にします.これを12回繰り返すと1/2すなわち1オクターブ上の「ド」になることになります.
これを数式で表すと「(1/x)↑12=2」という方程式になります.答えは「x= 1.059463…」となります.(数学記号「↑」については本ニュースレター【創刊号】を御覧ください.)
ピタゴラス音律や純正律では完全5度が3:2つまり「1.5:1」の関係になっていましたが,十二平均律では「1.498307…:1」と微妙に違う関係になります.
平均律にはもはやきれいな「整数比」が残っていません.そのかわり,一度チューニングしてしまえば,どの調でも演奏でき,曲の途中で転調も可能になりました.Jポップによくある,曲の後半でキーを半音上げる演奏も平均律ならではの演出ですね.
なお平均律を世に紹介し,理論的裏付けを与えたのはイタリアの作曲家ヴィンチェンツォ・ガリレイでした.見覚えのある名字ですが,彼の長男は,我らのガリレオ・ガリレイです.
科学にインスパイアされた音楽

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科学にインスパイアされた音楽には,このニュースレターの冒頭にご紹介した冨田勲の他に,イギリスの作曲家グスターヴ・ホルストの「惑星」も挙げられるでしょう.ホルスト自身は科学ではなく神話から着想を得たようですが,月と太陽の代わりに天王星と海王星を入れて全7曲としたところは,彼の作曲した20世紀の科学の影響でしょう.
冨田勲も「ドーンコーラス」を引き連れて,この「惑星」をカバーしています.
最後に,僕の考えた「こじつけ」をご紹介させてください.これからお話する数字は,大変に大雑把な近似に過ぎません.またこれが神の差配だと主張するつもりもありません.むしろ必然であるかもしれないからです.[参考文献6]
太陽から地球までの平均距離を表す単位があります.それはauという単位で「天文単位」と呼びます.1au= 149,597,870,700mです.このauを使って,太陽系の8個の惑星の距離を「大雑把に」並べてみましょう.
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水星 1/2au
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金星 3/4au
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地球 1/1au
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火星 3/2au
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木星 5au
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土星 10au
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天王星 20au
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海王星 30au
繰り返しますが,これは大変に大雑把な数字です.ケプラーが示したように,そもそも惑星は真円を描くわけではありません.太陽からの距離は季節によって変わるのです.それでも,惑星たちの太陽からの距離が,おおよそ整数比ぽくなっていることに,僕は心惹かれます.
この法則をより精緻に発展させようとしたドイツの天文学者ヨハン・ティティウスは「ティティウス・ボーデの法則」として知られる法則を編み出しました.残念ながらティティウス・ボーデの法則はもはや整数比の美しさを残しておらず,また科学的な根拠も乏しいものでした.
レッスンはこうです.科学者は,根拠なく美しさに惹かれてはならない.その最大の反例はアルベルト・アインシュタインですが,それでもノーベル賞物理学者リチャード・ファインマンは,アルベルト流の美の追求に批判的でした.この話もまたいずれ,このニュースレターでお届けしたいと思います.
おすすめTEDトーク

TED
宇宙の世界とは,よく描写されるように生物の存在しない,静かな場所なのでしょうか? 恐らく違うでしょう.天体物理学者であり音楽家のマット・ルッソが,宇宙に隠されたリズムと,惑星の軌道が奏でるハーモニーの秘密を紐解きながら,私たちを壮大な宇宙の旅へと誘います.「宇宙は音楽で溢れている.私たちはただその聴き方を学べばいいのだ」とルッソは言います.
マット・ルッソは簡潔に整数比が美しい音階を作ることを説明してくれます.そして,惑星の軌道が奏でるハーモニーを,彼の手にしたエレクトリック・ギターで聴かせてくれます.ケプラーが夢見た惑星のハーモニーは残念ながら太陽系にはありませんでした.しかし,ケプラーの名前を冠した望遠鏡(NASAケプラー宇宙望遠鏡)が2018年に見つけた惑星系「K2-138」に,それはあったのです.
ぜひ動画で惑星のハーモニーをご覧ください.冒頭でご紹介した「TRAPPIST-1」の惑星系の想像図も紹介されますよ.
おすすめ(するかどうか迷っている)書籍

古来より科学者にとって,音階や音律の研究は宇宙の真理を探求することでした.古代ギリシャの数学者ピュタゴラスは音程や音階の理論を発明し,ドイツの科学者ヨハネス・ケプラーは,惑星の軌道を天文学と音楽理論によって解明しようとしました.(中略)つまり,古来より「音楽は数からできている」と考えられていたのです.本書は,科学と音楽を横断的に読み解き,音階・音律論から物理学,哲学などを通じて宇宙の真理に迫っていきます.
本書の章立てを見てみましょう.「(アルベルト・)アインシュタインとヴァイオリン」「音と数の秘密」「天体と音楽」「平均律と純正律」.本記事をここまで読んでくださった皆さんなら,きっとご興味を持たれるでしょう.本書は音楽の専門家からの視点で書かれていますので,併せて読んでいただければ参考になると思います.
ただし,著者の方々には大変申し訳無いのですが,本書は大変読みにくいです.文体が統一されておらず,一つ一つの話題は面白いもののあちこちへ飛びすぎ,扱っている数学に関してはかなり怪しいものが多いようです.(お前が言うな,とは言われそうですが.)
いまお届けしているこの記事のアイディアは,本書を参考にせずに僕一人で組み立てたのですが,かなり似通ってしまいました.逆に言うと,音楽と数学や科学の関係は「音階」と「天体」に絞られてくるのかもしれません.
一方で,天文学や錬金術(化学)の本場だったアラブ世界では音楽がどのような役割を果たしたのかについては,短くしか触れられていませんでした.このあたりの話は,また調べてお話していきたいと思います.
Q&A
匿名質問サイト「マシュマロ」で質問を受け付けています.普段はツイッターでお返事を書いていますが「ニュースレター読んでます」と入れていただければ,こちらのニュースレターでより長めの回答を書かせていただきます.
今週頂いた質問はこちらです.
YouTubeや他のサイトへの記事のテーマや内容はどうやって決めていますか?また作成にどれくらいの時間をかけていますか?
僕はYouTube動画を時々アップしているのですが,屋外で撮影することが多いんですよね.そこで,ロケ地まで歩いている間にネタを考えていることが多いです.YouTube動画のほうは,科学や技術と考古学の接点をお話するようにネタを考えています.思いつかないときは連想ゲームをしています.
そう言えばYouTube動画で先週の【第6号】の内容についてもお話していますので,よろしければ御覧ください.
このニュースレター「STEAM NEWS」は週刊でお送りしているのですが,執筆にはまるまる1週間をかけています.土曜日,日曜日にネタ探し,月曜日から水曜日にかけてラフに書いて,木曜日にフォーマットを整えて,金曜日に配信しています.木曜日には「振り返り」ポッドキャストも収録しています.ネタはその週の話題につながればいいなと思って探していますが,書き始めてから変わることもあります.もう少し速く書けるようになりたいのですが,いまのところ1週間かかってしまっています.
こちらの匿名質問サイトで質問を受け付けています.質問をお待ちしております.
ポッドキャストのお知らせ(+α)
今週も「振り返り」ポッドキャストを続けてみました.今週は【第6号】の振り返りをお届けしました.
iPhone/Mac からは以下のリンクでお聞きいただけます.
Android/PC からは以下のウェブサイトでお聞きいただけます.
先週から始めたClubhouseですが,面白いですね.広まってくれば「STEAM NEWS」の部屋も作ってみたいと思っています.アカウントをお持ちの方はフォローしてみて下さいね.僕のアカウントは @kanayafrica です.
【新年号】のフォローアップ
本ユースレター【新年号】では「古代エジプトの暦」を扱いました.より詳しい説明が国立天文台暦計算室にありましたので,リンクを貼っておきます.
ご参考に慣れば幸いです.アーカイブの【新年号】には追記を掲載させていただきました.
あとがき
実はですね,今週の「おすすめ書籍」は他の部分をすべて書いたあとで,最後に書いたのです.どの本をおすすめしようかなと思ってAmazonで「音楽」「科学」で検索してみて見つけたのですが,目次を見て絶句しました.この本を最初に読んでいれば,今週の原稿は一瞬で書けた気がします.ただし,虹と元素の話は本記事にユニークな内容でした.
さ,て,と.
ここからはちょっとしたこぼれ話です.
ある男の話をしましょう.彼は,大学の同級生ミレーバに惚れ込んで「きみのいない人生なんて人生じゃないよ」とラブレターを送り続け,さらには彼女の父親に「彼女は人生と科学において,自分のインスピレーションの源であり,道を踏み外さないための保護天使」と手紙を送りました.

ミレーバ(ミレヴァ)・マリッチ
彼はミレーバを在学中に妊娠させ,休学させました.その間,別の女子学生にもラブレターを送っていました.
ミレーバとは結婚をしましたが,子供は養子に出しました.(死亡したとする説もあります.)
浮気がミレーバにばれました.
彼は従姉妹と不倫を続けたましたが,ミレーバと離婚する気はありませんでした.しかもミレーバのことを「背負わなければならない十字架」「めったにいないブス」と陰で言っていました.
ミレーバと別居しました.その後,従姉妹の娘のために離婚を要求しましたが,ミレーバが心臓発作を起こしたので延期しました.このとき「仮病だ」と周囲に漏らしました.別居は5年に渡りました.
金銭的余裕のなかった彼は「(まだ取っていない)ノーベル賞の賞金を全額慰謝料にする」ことを条件にして,ようやくミレーバとの離婚に漕ぎ着けました.
従姉妹と結婚しようか,従姉妹の娘と結婚しようか迷いました.
従姉妹と再婚しましたが,浮気は生涯やめませんでした.浮気相手を秘書として雇ったりもしました.
離婚成立の2年後,彼はノーベル賞を受賞します.受賞理由は「光量子仮説」でした.そう,彼の名は,アルベルト・アインシュタインでした.
おいおい…と言いたくなる人生ですが,近代物理学の分野には更に上を行く人物がいます.こちらの方はまた次の機会にご紹介いたしましょう.お急ぎの方はQuoraの僕の投稿をご覧ください.[参考文献7]
今週は執筆中に何度もTwitterで応援メッセージを頂きました.本当にありがとうございます.大学の入試シーズンが続いており,なかなか集中する時間が取れないのですが,ニュースレターを待っていてくださる方がいると気持ちが切れずに良いですね.これがブログとニュースレターの違いかもしれません.
では,また来週お目にかかりましょう.
参考文献
ニュースレター「STEAM NEWS by Ichi」
発行者:金谷一朗(いち)
TEDxSaikaiファウンダー・パイナップルコンピュータ代表・長崎大学情報データ科学部教授
Cover Photo by Jallen Fosati on Unsplash
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