★ 人と機械の境界のノート【第204号別冊】

BADUIも見てくださいね
金谷一朗(いち) 2024.11.12
誰でも

いちです,おはようございます.

「STEAMボート乗組員」(STEAM NEWSサポートメンバー様)限定配信をお届けいたします.ご支援本当にありがとうございます.

さて,本誌【第204号】でお伝えした「人と機械の境界」について,執筆時に参照した情報をまとめます.

別冊はもっと勉強したい方向けの「足がかり」や余談としてお送りするものです.お時間のある時にお楽しみ頂ければ幸いです.

(Cover Photo by Komarov Egor 🇺🇦 on Unsplash)

BADUIと不便益

本文でなぜこの研究を紹介しなかったのかと反省しているウェブサイトがあります.「楽しいBADUIの世界」です.ほんと「なぜこうなった」と思うようなユーザインタフェース(UI)が集められていますので,是非ご覧になってください.

また,ユーザインタフェース(UI)をわざと不便にする「不便益」研究もあります.

本文のお題を「境界」としたのは,2024年11月の「科学系ポッドキャストの日」2周年企画に合わせるためでした.月々のお題は企画のホストが決めています.「境界」はいつか触れたいテーマだったこと,僕の研究分野であり,かつ関心のあるユーザインタフェース(UI)がまさに人と機械の境界であることから,このテーマを選んでみたのですが,今振り返るともう少しあたためてからお出しすべきだったなあと反省しています.

乱雑さの境界・自然物と人工物の境界

日本語の境界という言葉には,少なくともボーダー(border),バウンダリー(boundary),インタフェース(interface)というみっつの意味がありますものね.執筆当初の予定では「乱雑さの境界」「自然物と人工物(アーティファクト)の境界」についても書こうと思っていました.これはこれで欲張りすぎでしたかね……

「乱雑さの境界」では,人間が乱雑だと思う並びと,統計学的に乱雑な並びとの間には違いがある,つまり境界があるという話を挟ませて頂く予定でした.こちらは「サザエさんじゃんけん」【第33号】でも書いた内容ですので,ぜひ御覧ください.乱雑さの境界についてはいずれ書き直そうと思っています.

「自然物と人工物(アーティファクト)の境界」は,考古学者が頭を悩ます問題を取り上げる予定でした.考古学者が地上や地中から拾い上げる物体は,ときに自然物なのか人工物なのか区別がつきづらいものがあります.また,もう少しマニアックな例としては,遺跡調査で使う地中レーダーの画像があります.レーダー画像には地中の人工物(アーティファクト)と,レーダーが作り出すノイズ(アーティファクト)のふたつが混在します.英語では両方ともアーティファクトと呼ぶので,もう言語レベルで混在しています.境界をはっきりせんかい……となるシーンです.この話も,稿を改めて取り上げられたらと思います.

API

コンピューター・プログラマーが扱う「境界」はユーザインタフェース(UI)だけではありません.むしろUIを扱うのはほんの一部で,日常的に触れているのはアプリケーション・プログラム・インタフェース(API)でしょう.APIとはプログラムとプログラムの境界のことです.いまどきのコンピューター・プログラムは単品で動いていることは稀で,複数のプログラムを束ねて動いています.このとき,プログラムAからプログラムBに話しかける方法を取り決めたのがAPIです.

APIについてもおもしろい話がたくさんできそうです.たとえばAPIに著作権はあるのかとか,そもそもAPIはなぜ必要なのかとか.あ,マニアックな話ばっかりですみません.

次号予告

次号のテーマは「わたしはどこ?」にしようと思います.

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金谷一朗(いち)

TEDxDejima Studioファウンダー・パイナップルコンピューター代表・長崎大学情報データ科学部教授

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